このHPでは日本産の蝶類の学名のリストを示してます。
定着が確認されていない迷蝶は除いています。
できるだけ最新情報を反映しています。分類体系のさらなる変遷で学名に変更が生じることもあり、随時更新しています。これからも変わっていきます。
学名の変更がある種につきましては、全てが明瞭な文献があるのではありません。主流になりつつあるものを使用している例もあります。
帰属が変わると、命名者と記載年に( )が付きます。
分類については多くの議論で見解が様々な例もあり、はっきりしないものもあります。Valid nameが怪しいものもあります。
種や亜種の独立性を示すのにデータが不十分な例があり(主にアマチュアによる記載)、妥当性が疑問視される場合もあります。ご判断はお任せします。
研究者によって分類法は異なるので、ここに示されている学名が全て100%正しいということはありません。この学名を使用しなければならないというものではありません。
下記の文献紹介で、分類的変遷となった論文を紹介しています。オープンアクセスではないものは、「Google scholar(Google Scholar)」で検索できる場合があります。
各種に英名も併記しています。「蝶類生物学英和辞典」や「農林有害動物・昆虫名鑑」を参照にしています。種小名の変更により、この英名を使用できるか疑問なものは青字で示しています。
間違いや抜けがありましたらご指摘ください。
参考文献
猪又敏男・植村好延・矢後勝也・神保宇嗣・上田恭一郎(2013)日本昆虫目録第7巻鱗翅目第1号(セセリチョウ上科―アゲハチョウ上科).日本昆虫目録編集委員会編.xxv+119 pp.日本昆虫学会,東京.
岩野秀俊監修・鍛冶勝三著(2015)蝶類生物学英和辞典.178 pp. ニューサイエンス社,東京.
日本応用動物昆虫学会編集(2006)農林有害生物・昆虫名鑑増補改訂版.387 pp. 日本応用動物昆虫学会,東京.
白水隆(2006)日本産蝶類標準図鑑.336 pp. 学研,東京.
矢田脩監修(2007)新訂原色昆虫第圖鑑第Ⅰ巻(蝶・蛾篇).460 pp.北隆館,東京.
参考URL
世界の蝶類のValid nameを検索できます。しかし、最新情報が反映されているとは限りません。
管理人:長田庸平(大阪市立自然史博物館)
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文献紹介
・Cotton M. A. (2026) Summary of changes to taxonomy of genus Papilio. Butterflies (98): 43–51.
オキナワカラスアゲハのネオタイプが指定されたことで、亜種名が整理されました。
Papilio ryukyuensis ryukyuensis Fujioka, 1975
→Papilio okinawensis okinawensis Fruhstorfer, 1898
Papilio ryukyuensis amamiensis (Fujioka, 1981)
→Papilio okinawensis amamiensis (Fujioka, 1981)
Papilio ryukyuensis keramana Arita et Sorimachi, 2022
→Papilio okinawensis keramana Arita et Sorimachi, 2022
分子系統解析によりアゲハチョウ科のAtrophaneura属とByasa属の生物地理学が調べられました。これらの2属は約1900万年前に大陸の広域で起源を持ち、Atrophaneura属はスンダランドに、Byasa属は横断山脈に起源を持つことが推測されました。日本のジャコウアゲハByasa alcinousも解析されています。
オキナワカラスアゲハの学名が変わり、一時的にヤエヤマカラスアゲハがPapilio bianorの亜種に降格し、従来使用されていたjuniaが亜種小名になりました。今後、種に昇格する可能性があります。
Papilio okinawensis Fruhstorfer, 1898
→Papilio bianor junia Jordan, 1909
オキナワカラスアゲハのネオタイプ標本(沖縄島産のPapilio bianor okinawensis)が新たに指定され、種小名がokinawensisになりました。
Papilio ryukyuensis Fujioka, 1975
→Papilio okinawensis Fruhstorfer, 1898
シジミチョウ科の新属Lacturneaが設立され、タイワンツバメシジミはこの属に移され、タイプ種に指定されました。ツバメシジミはEveres属のままで、別属に分離されました。
Everes lacturnus (Godart, [1824])
→Lacturnea lacturnus (Godart, [1824])
帰属が変わると命名者と記載年に()が付くので、日本本土亜種の表記は以下のようになります。
Everes lacturnus kawaii Matsumura, 1926
→Lacturnea lacturnus kawaii (Matsumura, 1926)
・増井暁夫(2025)図説世界のコムラサキ.北海道大学出版会,札幌.
※六本脚で購入できます。
Hestina persimilisとHestina japonicaは分布が重複し、交尾器の形態が異なることから、両種は別種であると結論付けられました。
日本産ベニヒカゲはErebia niphonicaとされたことがあって、地理的変異が多様で多くの亜種が記載されました。現在はロシアやモンゴルに分布するErebia nerieneの亜種として扱われ、国内では北海道産と本州産の2亜種に整理されています。Erebia nerieneの遺伝子解析により、原名亜種、サハリン・北海道亜種、本州亜種の系統関係が調べられました。
・小田康弘 (2024) ヤマウラギンヒョウモンの学名について.昆虫DNA研究会ニュースレター (41): 1–10.
ヒメウラギンヒョウモン、サトウラギンヒョウモン、ヤマウラギンヒョウモンの英名が提唱されました。
セセリチョウ科の族が整理されました。
※六本脚で購入できます。
東アジアのAchillides亜属が再検討され、ヤエヤマカラスアゲハが独立種Papilio okinawensisに昇格しました。
Papilio bianor okinawensis Fruhstorfer, 1898
→Papilio okinawensis Fruhstorfer, 1898
また、日本産ナガサキアゲハが複数の亜種に細分されました。
日本産キアゲハがDNAバーコーディングによって、種の独立性が示されました。
アゲハチョウ科の族が整理され、タイスアゲハ族はウスバシロチョウ亜科から分離し、タイスアゲハ亜科Zerynthiinaeになりました。
※六本脚で購入できます。
ユーラシア大陸のキアゲハ群の再検討により、日本とサハリンの亜種は独立種Papilio hippocratesに昇格しました。
Papilio machaon hippocrates C. Felder et R. Felder, 1864
→Papilio hippocrates C. Felder et R. Felder, 1864
この種はサハリン産とは亜種で区分され、日本産は原名亜種で亜種名は以下のようになります。
Papilio hippocrates hippocrates C. Felder et R. Felder, 1864
分子系統解析を用いてPapilio属の亜属が整理されました。日本産含め、亜属の帰属やValid nameが示されています。
日本を含む東アジアにおけるセセリチョウ科Ochlodes属が分子系統解析により再検討され、日本のヒメキマダラセセリが独立種O.rikuchinaになりました。日本特産種です。
Ochlodes ochraceus (Bremer, 1861)
→Ochlodes rikuchina (Butler, 1878)
ナガサキアゲハとその近縁種の遺伝子解析に関する論文です。memnonが2種に分かれ、日本産はagenorという学名があてられました。インドやスリランカに分布するテンジクアゲハはPapilio polymnestorという独立種でしたが、遺伝的な差異がないことからPapilio agenorの亜種になりました。つまり、ナガサキアゲハとテンジクアゲハは同種とされました。
Papilio memnon thunbergii von Siebold, 1824
→Papilio agenor thunbergii von Siebold, 1824
・小田康弘 (2022) ウラギンヒョウモン(Argynnis属Fabriciana亜属)3種♂とタイプ標本の形態比較分析.蝶と蛾 73 (3/4): 67–92.
日本産ウラギンヒョウモン類3種の学名が整理されました。
ここではArgynnis属として記載されていますが、de Moya et al. (2017)に従うとFabriciana属になり、帰属が変わると命名者と記載年に()が付くので表記は以下になります。
ヒメウラギンヒョウモン
Argynnis pallescens Butler, 1873
→Fabriciana pallescens (Butler, 1873)
サトウラギンヒョウモン
Argynnis locuples Butler, 1881
→Fabriciana locuples (Butler, 1881)
(名義タイプ亜種)
Argynnis locuples locuples Butler, 1881
→Fabriciana locuples locuples (Butler, 1881)
(奥尻亜種)
Argynnis locuples kandai Shinkawa et Iwasaki, 2019
→Fabriciana locuples kandai (Shinkawa et Iwasaki, 2019)
ヤマウラギンヒョウモン
Argynnis nagiae Shinkawa et Iwasaki, 2019
→Fabriciana nagiae (Shinkawa et Iwasaki, 2019)
分子系統解析によりヒメシジミ族が整理され、オオルリシジミがカバイロシジミと同属になりました。
Shijimiaeoides divinus (Fixsen, 1887)(Sinia属と表記されることも)
→Glaucopsyche divinus (Fixsen, 1887)
分子系統解析によってセセリチョウ科の属が整理され、クロセセリとオオシロモンセセリの属がAncistroidesに変わりました。
クロセセリ
Notocrypta curvifascia (C. Felder et R. Felder, 1862)
→Ancistroides curvifascia (C. Felder et R. Felder, 1862)
オオシロモンセセリ
Udaspes folus (Cramer, [1775])
→Ancistroides folus (Cramer, [1775])
分子系統解析によってイチモンジチョウ族が再検討されました。日本のイチモンジチョウやアサマイチモンジはLadoga属とされることがありましたが、オオイチモンジと同属のLimenitis属になりました。
日本と台湾のアサギマダラは、中国大陸に分布するParantica sitaとは形態や遺伝子が大きく異なることから、独立種Parantica niphonicaに昇格しました。
Parantica sita niphonica (Moore, 1883)
→Parantica niphonica (Moore, 1883)
ヒオドシチョウ属が分子系統解析で整理され、キタテハ属、ヒオドシチョウ属、クジャクチョウ属、コヒオドシ属、ルリタテハ属がそれぞれヒオドシチョウ属の亜属になりました。Inachis属は一度消えましたが、亜属として復活しました。エルタテハはRoddia属が使われることがありましたが、ここでは亜属になりました。
キタテハ
Polygonia c-aureum (Linnaeus, 1758)
→Nymphalis (Polygonia) c-aureum (Linnaeus, 1758)
シータテハ
Polygonia c-album (Linnaeus, 1758)
→Nymphalis (Polygonia) c-album (Linnaeus, 1758)
エルタテハ
Nymphalis l-album (Esper, 1781)
→Nymphalis (Roddia) l-album (Esper, 1781)
ヒオドシチョウ
Nymphalis xanthomelas ([Denis et Schiffermüller], 1775)
→Nymphalis (Nymphalis) xanthomelas ([Denis et Schiffermüller], 1775)
キベリタテハ
Nymphalis antiopa (Linnaeus, 1758)
→Nymphalis (Nymphalis) antiopa (Linnaeus, 1758)
ルリタテハ
Kaniska canace (Linnaeus, 1763)
→Nymphalis (Kaniska) canace (Linnaeus, 1763)
コヒオドシ
Aglais urticae (Linnaeus, 1758)
→Nymphalis (Aglais) urticae (Linnaeus, 1758)
(本州中部地方亜種)
Aglais urticae esakii Kurosawa et Fujioka, 1975
→Nymphalis (Aglais) urticae esakii (Kurosawa et Fujioka, 1975) ※属が変わると命名者と記載年に()が付きます。
クジャクチョウ
Aglais io (Linnaeus, 1758)
→Nymphalis (Inachis) io (Linnaeus, 1758)
・中江 信 (2021) 世界のアゲハチョウ図説.336 pp. 六本脚,東京
大圖鑑や目録ではジャコウアゲハをAtrophaneura属(アケボノアゲハ類)としていますが、現在は別属のByasa属を使うのが主流のようです。
Genus Atrophaneura Reakirt, [1865]
→Genus Byasa Moore, 1882
ダイミョウセセリの属名がDaimioからTagiadesに変更になりました。コウトウシロシタセセリと同属です。
Daimio tethys (Ménétriès, 1857)
→Tagiades tethys (Ménétriès, 1857)
セセリチョウ科の新属Praethoressaが設立され、コチャバネセセリがこの属に変更になりました。
Thoressa varia (Murray, 1875)
→Praethoressa varia (Murray, 1875)
・新川 勉・岩﨑郁雄 (2019) 日本のウラギンヒョウモン.ヴィッセン出版,宮崎.
※六本脚で購入できます。
日本産ウラギンヒョウモン類が再検討され、ヤマウラギンヒョウモンとヒメウラギンヒョウモンが記載されました。
・de Moya R.S., Savage W.K., Tenney C., Bao X., Wahlberg N. and Hill R.I. (2017) Interrelationships and diversification of Argynnis Fabricius and Speyeria Scudder butterflies. Systematic Entomology 42(4): 635–649.
ギンボシヒョウモン属、ウラギンヒョウモン属、ミドリヒョウモン属が分子系統解析によって再検討されました。ウラギンヒョウモン属はミドリヒョウモン属の亜属から独立属に昇格しました。
Subgenus Fabriciana Reuss, 1920
→Genus Fabriciana Reuss, 1920
・福田晴男・美ノ谷憲久 (2017) 月刊むし・昆虫図説シリーズ 10 日本と世界のホシミスジ.172p. むし社,東京.
日本産ホシミスジが種iwaseiに昇格し、亜種が細分されました。
Neptis pryeri Butler, 1871
→ Neptis iwasei Fujioka, 1998
オオチャバネセセリの属がPolytremisからZinaidaに変更になりました。
Polytremis pellucida (Murray, 1875)
→Zinaida pellucida (Murray, 1875)
分子系統解析によりヤマトシジミとハマヤマトシジミが系統的に離れていることからヤマトシジミ属Pseudozizeeria属が復活しました。ヤマトシジミはZizeeria属かPseudozizeeria属か、帰属がはっきりしていませんでした。
Zizeeria maha (Lollar, [1844])
→Pseudozizeeria maha (Lollar, [1844])
・小田康弘(2016)北海道産 Pieris 属 3 種の形態上の差違について(1)-春型とnesisタイプ標本-.蝶と蛾 67 (2): 41–57.
北海道産Pieris属napi群の学名が整理され、エゾスジグロシロチョウとヤマトスジグロシロチョウの学名が変更となりました。
エゾスジグロシロチョウ
Pieris dulcinea (Butler, 1882)
→Pieris nesis Fruhstorfer, 1909
ヤマトスジグロシロチョウ
Pieris nesis Fruhstorfer, 1909
→Pieris japonica Shirôzu, 1952
・Toussaint E.F.A., Moriniere J., Muller C.J., Kunte K., Turlin B., Hausmann A. and Balke M. (2015) Comparative molecular species delimitation in the charismatic Nawab butterflies (Nymphalidae, Charaxinae, Polyura). Molecular Phylogenetics and Evolution 91: 194–209.
日本産フタオチョウが亜種から独立種に昇格しました。
Polyura eudamippus weismanni (Fritze, 1894)
→Polyura weismanni (Fritze, 1894)
・長田庸平・矢後勝也・矢田脩・広渡俊哉 (2015) 雌雄交尾器とDNAバーコーディングに基づくミカドアゲハ日本産亜種の再検討、特に沖縄島と対馬個体群の所属について.蝶と蛾 66(1): 26–42.
日本産ミカドアゲハの亜種が再検討されました。沖縄島と対馬の個体群は、日本本土亜種に含まれます。
日本と韓国のキリシマミドリシジミの亜種が種に昇格しました。
Thermozephyrus ataxus (Westwood, [1851])
→Thermozephyrus kirishimaensis (Okajima, 1922)
(原名亜種)
Thermozephyrus ataxus kirishimaensis (Okajima, 1922)
→Thermozephyrus kirishimaensis kirishimaensis (Okajima, 1922)
(屋久島亜種)
Thermozephyrus ataxus yakushimaensis (Yazaki, [1924])
→Thermozephyrus kirishimaensis yakushimaensis (Yazaki, [1924])
分子系統解析によってクロマダラソテツシジミの属がChiladesからLuthrodesに変わりました。
Chilades pandava (Horsfield, [1829])
→Luthrodes pandava (Horsfield, [1829])
日本産種を含むPlebejus属が分子系統解析で整理されました。
日本産ゴマダラチョウは大陸に分布するHestina persimilis (Westwood, [1850]) の亜種japonicaとされたことがあり、目録ではこの学名が使われています。上記の論文によれば、インドシナ半島からインドに分布するH. persimilisとは斑紋で識別できるため、Hestina japonica (Felder, 1862)としています。ここではH. japonicaを使用しています。
シジミチョウ科のZizina属が分子系統解析により再検討され、日本産シルビアシジミがシルビアシジミとヒメシルビアシジミに分割されました。Zizina otisの日本本土と朝鮮半島の亜種emelinaが独立種Zizina emelinaに昇格しました。ヒメシルビアシジミの学名は変わらず、東洋区やオセアニア区に広域に分布するZizina otisの南西諸島亜種のZizina otis riukuensisです。
ゴマシジミやオオゴマシジミはMaculinea属とされてきましたが、分子系統解析によってPhengaris属に変わりました。
ムラサキシジミやムラサキツバメはNarathura属、ルーミスシジミはPanchala属とされてきましたが、全てArhopala属にまとめられました。
東アジアのAchillides亜属の遺伝子解析により、奄美群島産カラスアゲハはオキナワカラスアゲハであると判明しました。そのため、以後の文献ではオキナワカラスアゲハ奄美群島亜種Papilio ryukyuensis amamiensis (Fujioka, 1981)とされています。
そして、ヤエヤマカラスアゲハは遺伝的に台湾や大陸のPapilio bianorから大きく離れていることが示されています。
・加藤義臣・矢田脩(2005)西南日本および台湾におけるキチョウ2型の地理的分布とその分類学的位置.蝶と蛾 56 (3): 171–183.
日本産キチョウがキタキチョウとミナミキチョウの2種に分割されました。
ヒオドシチョウ属とその近縁属のミトコンドリアや核遺伝子が総合的に解析され、クジャクチョウ属Inachisはコヒオドシ属Aglaisに、ルリタテハ属Kaniskaはキタテハ属Polygoniaに含まれるとされ、それぞれシノニムにされました。クジャクチョウはAglais属であることが浸透していますが、ルリタテハをPolygonia属とするという考えは主流ではないようです。
Inachis io (Linnaeus, 1758)
→Aglais io (Linnaeus, 1758)
サハリン・日本産のヒメウスバシロチョウは大陸産とは交尾器の形状が明瞭に異なるため、北海道をタイプ産地とした独立種になりました。
Parnassius stubbendorfii Ménétriés, 1849
→Parnassius hoenei Schweitzer, 1912
(名義タイプ亜種)
Parnassius stubbendorfii hoenei Schweitzer, 1912
→Parnassius hoenei hoenei Schweitzer, 1912
(利尻島亜種)
Parnassius stubbendorfii tateyamai Fujioka, 1997
→Parnassius hoenei tateyamai Fujioka, 1997
日本産ヒメウスバシロチョウは、目録ではParnassius stubbendorfiiの亜種とされていますが、この論文では大陸産とサハリン・日本産が遺伝的に大きく離れていることが示されています。
エルタテハの種小名であるvaualbumは原記載やタイプ標本がないため裸名(無効名)であり、l-albumが有効名であるとされました。ここではRoddia属とされています。
Nymphalis vaualbum (Denis & Schiffermüller, 1775)
→Nymphalis l-album (Esper, 1781)
・岡野喜久麿 (2000) ウスバシロチョウの学名について.Tokurana (25): 1–5.
ウスバシロチョウの学名はParnassius glacialis Butler, 1866が用いられてきましたが、Parnassius citrinarius Motschulsky, 1866という学名が先行することが判明しました。
・吉本浩 (1998) クジャクアゲハとカラスアゲハ.Butterflies (20): 45–49.
日本のカラスアゲハは大陸に分布するPapilio bianorの亜種として、以下のように整理されていました。
日本本土亜種:Papilio bianor dehaanii C. Felder et R. Felder, 1864
八丈島亜種:Papilio bianor hachijonis Matsumura, 1919
吐噶喇列島亜種:Papilio bianor tokaraensis Fujioka, 1975
奄美群島亜種:Papilio bianor amamiensis (Fujioka, 1981)
沖縄諸島亜種:Papilio bianor ryukyuensis Fujioka, 1975
八重山諸島亜種:Papilio bianor okinawensis Fruhstorfer, 1898
上記の論文で日本本土亜種・八丈島亜種・吐噶喇列島亜種・奄美群島亜種は独立種Papilio dehaaniiに、沖縄諸島亜種は独立種Papilio ryukyuensisに昇格し、以下のように整理されました。
カラスアゲハ名義タイプ亜種:Papilio dehaanii dehaanii C. Felder et R. Felder, 1864
カラスアゲハ八丈島亜種:Papilio dehaanii hachijonis Matsumura, 1919
カラスアゲハ吐噶喇列島亜種:Papilio dehaanii tokaraensis Fujioka, 1975
カラスアゲハ奄美群島亜種:Papilio dehaanii amamiensis (Fujioka, 1981)
オキナワカラスアゲハ:Papilio ryukyuensis Fujioka, 1975
ヤエヤマカラスアゲハ:Papilio bianor okinawensis Fruhstorfer, 1898
ミヤマシジミやアサマシジミはLycaeides属とされたことがありますが、ヒメシジミと同属のPlebejus属にまとめられました。
・千葉秀幸・築山洋 (1996) ユーラシア産コキマダラセセリ属の再検討.Butterflies (14): 3–16.
アサヒナキマダラセセリは独立種Ochlodes asahinai Shirôzu, 1964とされることがありますが、交尾器より大陸に分布するウスバキマダラセセリOchlodes subhyalinaの亜種であることが分かりました。標準図鑑では独立種と扱われていますが、目録では八重山諸島の固有亜種Ochlodes subhyalina asahinai Shirôzu, 1964としています。